コラム
2025.1.6

高速道路網に新たな息吹:利便性向上と料金ルール改正の波2025年 

2025年、日本の高速道路網がさらなる発展を遂げる。交通インフラの拡充を目指し、複数の新規路線が開通予定だ。これに伴い、割引ルールの改正も行われ、利用者の利便性と公平性を高める動きが注目されている。

新規開通区間:地域の活性化に期待

国土交通省によると、2025年内主に以下の区間が新たに供用を開始する予定です。

高速道路名開通区間延長距離主な目的開通時期(予定)
北陸自動車道福井IC ~ 敦賀JCT約30km北陸新幹線延伸との連携、物流促進2025年春
九州自動車道宮崎西環状線(全線開通)約10km宮崎市内の渋滞緩和、観光振興2025年夏
東京外環自動車道調布IC ~ 三郷南IC(追加車線)約15km都心部の交通混雑緩和2025年秋
東海環状自動車道岐阜大野IC ~ 高富IC約18km中京圏の交通ネットワーク強化2025年冬
東北中央自動車道南陽高畠IC ~ 米沢北IC約13km山形県内のアクセス向上2025年春
山陰道出雲IC ~ 松江IC約25km山陰地方の観光地間連結強化2025年中

割引ルール改正:深夜割引の改正

高速道路のETC深夜割引の適用時間帯などが大幅に変更されることが決定しております。

そもそも高速道路における深夜割引とはどんなものなのでしょうか?

【現行の割引】0時から4時の間に高速道路を通行するETC車の料金を3割引

その目的とは?

【割引の目的】 一般道の沿道環境を改善するため、交通容量に余裕のある高速道路の夜間利用を促進

要するに交通量が少ない夜間に走行すれば安くするよという事ですね。

しかし、運用当時からこの割引には以下の問題がありました。

①割引適用待ち車両の滞留が発生

深夜割引を利用するため、適用開始時間の直前に料金所付近で待機する車両の滞留が問題となっています。特に物流業者や長距離ドライバーが多く利用する区間では、深夜0時を待つ車両が料金所手前に長い列を作り、円滑な交通の妨げや周辺道路の渋滞を引き起こしている状況があります。手前のサービスエリアで停車すればと思われるかもしれませんが、ただでさえ少ないトラックエリアはその時間帯大混雑で停車するスペースもないくらいです。これにより、安全性の低下や予期せぬ交通事故のリスクも懸念されています。

②運転者等の労働環境の悪化

深夜割引を活用するため、運転者が割引適用時間に合わせた運行を強いられ、労働環境の悪化が懸念されている。物流業界では、コスト削減のため深夜時間帯に走行を集中させる傾向が強まり、運転者に長時間労働や深夜運転が常態化するケースが増加している。これにより、睡眠不足や疲労蓄積が進み、健康被害や交通事故のリスクが高まっているとの指摘がある。

以上の問題から今回の見直しポイントはこちら

①割引対象時間帯の走行分のみ3割引

②割引対象時間帯を22時から翌5時に拡大

③見直しにあわせて400km超の長距離逓減制を拡充

この改正により、割引対象となるのは22時~翌5時の間に走行した距離のみとなり、無謀な運転を抑止するために割引上限距離が設定されます。普通自動車や軽自動車の場合、1時間あたり105kmが上限※となり、大型車以上の貨物自動車は1時間あたり90kmが上限です。

※(注)上記の上限距離設定は、速度超過等の無謀な運転を容認するものではありません。引き続き、天候等による路面状況・速度標識等をご確認いただき、交通ルールやマナーを遵守のうえ、安全な速度でご走行ください。

そして、割引の還元方法も大きく変わります。

深夜割引見直し後の割引適用方法

○深夜割引見直し後は「ETCマイレージサービス(※)」または「ETCコーポレートカード」を用いた後日還元型による割引制度に変更します。

現状深夜割引は走行直後から適用されETC通過表示計にも適用金額が反映されていましたが、見直し後は後日還元となり利用照会サービスで明細を見ても反映されていない料金がでます。

かなり複雑化した今回の深夜割引の改正ですが、当初春からの運用開始予定でしたが基地局設備工事の遅れなどから7月ごろへ延期されました。

改正への反応、賛否分かれる

物流業界からは「コスト増加が業務に影響を及ぼす」との懸念が上がる一方、地域住民や環境保護団体からは「交通量の抑制や環境負荷軽減につながる」と歓迎の声が聞かれる。

改正後の影響については依然として注視が必要だが、国土交通省は「交通インフラの持続可能性を確保しつつ、利用者が安心して道路を利用できる環境を提供する」としている。

最新の情報に関してはネクスコ道路会社HPをご覧ください。